こんにちは、やんともです🐈
昨日は「NISAをやっている人が亡くなったらどうなるの?」という話を書きました。今日はその続き、特定口座に入っている個別株(日本の高配当株)の相続についてです。
前編をまだ読んでいない方は、詳しくはこちら👇
NISAをやっている人が亡くなったらどうなる?資産は妻にどう引き継がれるのか
私は日本の高配当株を85銘柄持っています。暴落したときにコツコツ買い足していたら、いつの間にかこの数になっていました。そして正直なところ、「こんなにたくさん持っていたら、相続って大変なんじゃないかな」とずっと感じていました。
そこで調べてみたので、この記事では次の3つをまとめます。
- ① 株を相続すると、いったい何が起きるのか
- ② 手続きの流れと、必要になる書類
- ③ 今日からできる、家族への備え
相続や税金の言葉がたくさん出てきますが、出てくるたびに言い換えを添えていきます。こわい話ではなく、「知っておけば困らない」という気持ちで読んでいただけたらうれしいです😊
💡 結論:株は「売って現金」ではなく、「そのまま名義を移す」
まず、いちばん大きな勘違いポイントから。
銀行口座は、亡くなったあとに手続きをすると、口座を解約して現金を受け取るのが基本です。ところが証券口座は違います。
証券口座の相続は、相続人(財産を受け取る人)の名義の口座へ「移管」する=名義を移すのが基本です。持っていた株が、そのままの形で奥さまやお子さんの口座に移る、というイメージですね。
もし現金が必要なら、移管したあとに、相続した人が自分で売るという順番になります。「相続の手続き=現金でもらう」ではない、というのがまず押さえどころです。
そしてもうひとつ、前編と共通の注意点。移す先は、亡くなった人と同じ証券会社が基本です。相続する人がその証券会社に口座を持っていなければ、まず口座開設からになります。我が家の場合はSBI証券なので、妻にもSBI証券の口座が必要、ということですね。
🔄 NISAとは真逆!買ったときの値段がそのまま引き継がれます
ここがこの記事のいちばんのポイントです。
特定口座から相続人の特定口座へ移管する場合、亡くなった方の「取得日」と「取得価額(買ったときの値段)」が、そのまま引き継がれます。
つまり、亡くなった方の含み益(まだ売っていない利益)も一緒に引き継ぐということ。相続してすぐに売った場合でも、亡くなった方の代から増えていた分にも税金がかかる計算になります。
前編のNISAとは、しくみが真逆なんです。
| 口座の種類 | 買ったときの値段は? |
|---|---|
| NISA口座 | 亡くなった日の値段にリセット(そこまでの利益は非課税) |
| 特定口座 | 亡くなった方の買ったときの値段をそのまま引き継ぐ |
これは制度の良し悪しではなく、「そういうしくみになっている」というだけの話です。淡々と知っておけば十分だと思います📊
相続の際、買値がわからないと「5%ルール」が適用されます!
相続と株のことを調べていると、「取得費が分からない場合は、売却代金の5パーセント」という話が出てきます。取得費というのは「買ったときの値段+手数料など」のこと。売った金額からこれを引いた残りが、税金の対象になります。
でも私はこう思ったんです。証券会社の画面には「平均取得単価」がちゃんと出ているじゃないか。それで分かるんじゃないの? 平均取得単価ではダメなの?と。
答え:平均取得単価で、まったく問題ありません
結論から言うと、特定口座なら平均取得単価でまったく問題ありません。
理由はシンプルで、特定口座は証券会社が取得価額を管理してくれているからです。移管すれば、その数字がそのまま相続した人の口座に引き継がれます。相続人が「どこを見れば買値が分かるのか」を知らなくても、手続きをすれば自動的に引き継がれるということですね。
正直、これを知ったときはホッとしました。私の妻も、たぶん買値がどこに出ているかは知らないと思うので。
では「5%ルール」はいつ出てくるのか
国税庁 No.1464「譲渡した株式等の取得費」には、こう書かれています。
譲渡した株式等が相続したものであるとか、購入した時期が古いなどのため取得費が分からない場合には、同一銘柄の株式等ごとに、取得費の額を売却代金の5パーセント相当額とすることも認められます。
国税庁が挙げている例はこちらです。
ある銘柄の株式等を300万円で譲渡した場合に取得費が不明なときは、売却代金の5パーセント相当額である15万円を取得費とすることができます。
これが問題になるのは、そもそも記録が残っていないケースです。昔の紙の株券や、一般口座で買って取引報告書をなくしてしまった場合など。特定口座で普通に買って持っている株は、まず当てはまりません。
どれくらい差が出るのか
ざっくり試算してみます。
- 900万円で売って、取得費が45万円(5%)扱い → 課税対象は855万円、税金は約174万円(20.315%)
- 本当の買値が500万円だと分かっている → 課税対象は400万円、税金は約81万円
その差は約93万円。記録があるかないかだけで、これだけ変わってくるんですね。
ここで思ったのは、特定口座で持っているということ自体が、すでに家族への備えになっているということ。普段はまったく意識していませんが、これが特定口座のいちばんありがたいところかもしれません✨
特定口座そのものの話は、詳しくはこちら👇
特定口座は源泉徴収あり・なしどっち?20万円ルールと扶養をやさしく解説
📝 手続きの流れ(4ステップ)と、85銘柄でも大丈夫だった話
証券会社によって細かい違いはありますが、一般的には次の4ステップです。
- ① 残高証明書を請求する:証券会社に「亡くなった日時点で何をどれだけ持っていたか」を書いた書類を出してもらいます。まずは全体像の把握から。
- ② 誰が引き継ぐかを決める:遺言書があればそれに従い、なければ遺産分割協議書(相続人みんなで話し合って決めた内容を書いた書類)を作ります。
- ③ 書類を提出する:多くの証券会社では相続手続依頼書(相続人全員の署名・実印)+被相続人の出生から死亡までの戸籍+相続人全員の印鑑証明書(3か月以内のもの)などが必要になります。
- ④ 相続人名義の口座へ移管:ここで、株が相続する人の口座に移ります。

書類は、どこから手に入れるの?
ここは私もいちばん気になったところです。「必要書類」と言われても、どこでもらえるのかが分からないと動けませんよね。調べてみると、書類は大きく2種類に分かれていました。
① 証券会社から送られてくるもの(電話1本で届きます)
証券会社の所定用紙は、自分で探しに行く必要はありません。相続の窓口に連絡すると、亡くなった方の取引内容や相続のしかたを確認したうえで、手続きの案内と必要な用紙一式が郵送されてきます。返信用の封筒まで同封されているのが一般的です。
- 相続手続依頼書(証券会社所定の用紙。相続人全員の署名・実印)
- 相続財産明細書などの付属書類
- 残高証明書の請求書
- 返信用封筒
SBI証券の場合は「相続サポートデスク」という専用の電話窓口が用意されています(電話番号や受付時間は変わることがあるので、公式サイトでご確認ください)。残高証明書は、最初に電話するときに一緒に頼んでおくと二度手間になりません。相続税の申告が必要になったときにも使う書類なので、早めに依頼しておくと安心です。
② 自分で集めるもの(市区町村の役所・法務局)
いっぽう、公的な書類は相続人が自分で集めることになります。正直、ここが手続きでいちばん時間のかかるところです。
| 書類 | どこで取る? |
|---|---|
| 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本 | 市区町村の役所(いちばん手間がかかる部分) |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 市区町村の役所 |
| 相続人全員の印鑑証明書(3か月以内のもの) | 住んでいる市区町村の役所。マイナンバーカードがあればコンビニでも取れます |
| 遺産分割協議書 | 相続人みんなで作成(遺言書がある場合は不要なこともあります) |
| 法定相続情報一覧図(任意) | 法務局(無料) |
つまり「証券会社の用紙は届く。集めるのは役所の書類」と覚えておけば大丈夫です。
戸籍集めは、2024年3月からラクになりました
「出生から死亡までの戸籍」と聞くと、引っ越しや結婚のたびに本籍地が変わっていた場合、あちこちの役所に郵送で請求して…と気が遠くなりますよね。私もそこがいちばん大変そうだと思っていました。
ところが2024年3月1日から「広域交付」という制度が始まっていて、本籍地以外の役所の窓口でも、まとめて戸籍謄本を取れるようになりました。妻が夫の戸籍を取る場合も対象です。ただし、いくつか条件があります。
- 請求できるのは本人・配偶者・直系尊属(父母や祖父母)・直系卑属(子や孫)だけ。兄弟姉妹の戸籍は対象外です
- 郵送や代理人による請求はできません。窓口に本人が行く必要があります
- 運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付きの本人確認書類が必要です
- 古くてコンピュータ化されていない戸籍など、対象外のものもあります
※必要書類はケースによって変わります(遺言書の有無、相続人の人数、金融機関など)。最終的には、証券会社の窓口で案内された書類にしたがってください。私は税理士でも司法書士でもありませんので、判断に迷うときは専門家にご相談を。
この項の参考:法務局「法定相続情報証明制度について」
85銘柄あっても、書類は銘柄の数だけではありません
私がいちばん心配していたのがここでした。「85銘柄ぶんの書類を書くのか…?」と。
調べてみると、相続手続依頼書でまとめて手続きするのが一般的で、銘柄の数だけ書類を出すわけではないそうです。「大変なのかな」と思っていましたが、手続きそのものは思ったより整っていました。これは正直、安心しました。
ただし、残高証明書で銘柄を洗い出す手間はあります。また、複数の金融機関で手続きがある場合は、「法定相続情報一覧図」(法務局で発行してもらえる、相続人の関係をまとめた図)を先に取っておくと全体が効率化します。戸籍の束を何度も出さなくて済むイメージですね。
必要書類の名称や通数は金融機関ごとに異なるので、断定はできません。まずは証券会社の電話窓口に連絡するのがいちばん早いと思います。
📊 相続税は「4つの値段」のうち、いちばん低いもので計算できます
株には日々の値動きがあるので、「いつの値段で相続税を計算するの?」という疑問が出てきます。ここには配慮のあるルールが用意されています。
国税庁 No.4632には、こう書かれています。
課税時期の最終価格が、次の3つの価額のうち最も低い価額を超える場合は、その最も低い価額により評価します。
つまり、次の4つのうちいちばん低い値段を選べる、ということです。
- ① 亡くなった日の終値
- ② その月の毎日の終値の月平均
- ③ 前月の月平均
- ④ 前々月の月平均
これは株価がたまたま高い日に亡くなっても不利にならないための配慮だと理解しています。

亡くなった日の終値がいちばん高くても、前々月の月平均がいちばん低ければ、そちらの価額で評価できます。株価が高い日に亡くなっても不利にならないための配慮です。※金額はしくみを分かりやすくするための例です。実際の株価・評価額は銘柄ごとに異なります。国税庁「No.4632 上場株式の評価」をもとに筆者作成。個別の取り扱いは税理士・税務署にご確認ください(筆者は税理士ではありません)。
図のように、亡くなった日の終値がいちばん高くても、前々月の月平均がいちばん低ければそちらの値段で評価できます。1,000株持っていた場合、130万円ではなく110万円で評価できる、という読み方ですね。
もうひとつ、取得費加算の特例というものもあります。相続税を納めた場合、相続開始のあった日の翌日から、相続税の申告期限(一般的に10か月)の翌日以後3年を経過する日までに売却すれば、納めた相続税の一部を取得費に足せる、という制度です(国税庁 No.3267)。詳細は複雑なので、該当しそうなときは税理士に相談するのが確実です。
※念のためですが、私は税理士ではありません。相続税がかかるかどうかも含めて、個別のケースは税理士・税務署・各金融機関にご確認ください。
💰 配当金はどうなるの?
高配当株を持っていると気になるのが配当金です。ここは3つのタイミングで扱いが変わります。
| タイミング | 扱い |
|---|---|
| 亡くなる前にすでに受け取っていた配当 | 亡くなった方の所得。準確定申告(相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内・国税庁 No.2022)の対象になり得る |
| 権利は確定していたが、まだ受け取っていない配当 | 未収配当金として相続財産になる |
| 権利確定が亡くなった日より後 | 相続した人の所得になる |
細かい判定は専門的な世界なので、「そういう区別があるんだな」と知っておけば十分だと思います。実際の判断は専門家に任せましょう。
受け取り方の設定は、相続した人の口座でも必要
もうひとつ大事なのが、配当金の受け取り方です。
配当金を証券口座で受け取る「株式数比例配分方式」は、口座ごと(人ごと)の設定です。私自身はすでに設定済みですが、それはあくまで自分の口座の話。妻の口座では、改めて設定が必要になります。
ちなみに特定口座(源泉徴収あり)でこの方式にしておくと、その口座内の売却損と配当が自動で差し引き計算されるというメリットもあります。
この方式について、詳しくはこちら👇
NISAなのに配当が課税される?株式数比例配分方式を設定しないと損します
🏠【やんともの考え】妻には、持ち続けてほしい。でも——
ここからは制度の話ではなく、私自身の考えです。
高配当株は、できれば持ち続けてほしいと思っています。持っているだけで、定期的にお金がもらえるからです。暴落のときに少しずつ買い集めてきたものなので、なおさらそう思います。
ただ——私が亡くなったら、それは妻の資産です。管理が難しいようなら、売ってオルカン(全世界株式のインデックスファンド)などに替えてもいいと思っています。85銘柄の株価や決算を追いかけるのは、正直かなりの手間ですから。
妻の個別株の知識は、軽く話したことはあるけれど、今の段階ではほぼないに等しいのが実情です。手続きも、管理も、売るかどうかの判断も、知識がないと難しいと思います。だから、これから少しずつ教えていけたらと思っています。

こうして調べていくうちに、はっきりしたことがあります。いちばんの相続対策は、書類でも制度でもなく「少しずつ話しておくこと」なんだな、と。
そもそも配当金がどういうしくみなのかは、詳しくはこちら👇
配当金ってなに?いつ・いくらもらえる?しくみとNISAの落とし穴をやさしく解説
なお、これは「高配当株を持ちましょう」という話ではありません。個別株には元本割れのリスクも、企業ごとの業績リスクもあります。私はあくまで自分で調べて納得したうえで持っている、というだけです。
✅ 今日からできる備え(3つ)
- ① どの証券会社に口座があるかを伝える:前編でも書きましたが、これがいちばん大事です。口座の存在を知らなければ、手続きは始まりません。
- ② 「なぜこの株を持っているのか」を話しておく:難しい理屈はいりません。「配当がもらえるから持っている」という理由だけでも十分です。
- ③ 少しずつ教えていく:一度に全部は無理なので、封筒が届いたときなど、きっかけのあるタイミングで少しずつ。
我が家には配当のお知らせの封筒が大量に届くので、妻は「たくさん持っている」ことは知っています。そこから一歩進んで、中身の話をしていきたい——それが今の私の目標です。
そんなことを考えながらパソコンに向かっていたら、もなかがおもちゃのボールを前足でころころ転がして、一人で盛り上がっていました。その横でココアは前足でくしくしと顔を洗っていて、我が家はいつもどおりです🐈🐇
📌 まとめ
- ① 株は売って現金にするのではなく、相続人の口座へ名義を移すのが基本
- ② NISAと違い、亡くなった方の買ったときの値段がそのまま引き継がれる
- ③ 特定口座なら、取得価額の記録は証券会社が持っていてくれる
昨日と今日の2本で、NISAと個別株の両方を整理することができました。手続きは思ったより整っていて、過度に心配するようなものではありませんでした。本当に大事なのは、「なぜこの株を持っているのか」を家族に伝えておくことなんだと思います。
このブログは妻も読んでくれているので、この2本がそのまま、妻へのエンディングノートの一部になったらいいなと思っています📖
前編もあわせてどうぞ👇
NISAをやっている人が亡くなったらどうなる?資産は妻にどう引き継がれるのか
※本記事の制度・手続きの内容は、国税庁の公表資料(No.1464/No.4632/No.2022/No.3267)をもとに、2026年8月時点で私が調べたものです。必要書類や手続きの流れは金融機関ごとに異なります。最新の仕様は公式サイトでご確認ください。
国税庁:https://www.nta.go.jp/
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