相場がガクッと下がると、決まって増える質問があります。「NISAで含み損なんですけど、これ売ったほうがいいですか?」というものです。
NISAは「利益に税金がかからないおトクな制度」として広まりましたが、じゃあマイナスのときはどうなるのかを知っている人は、意外と少ないんですよね。
今回はそこを、小学生でもわかるくらいにかみ砕いて解説していきます😊
🍀 「NISAで含み損。これ、売ったほうがいいの?」
先に結論を3行で書いておきます。
- NISAの損は、税金の面では「救済なし」(損益通算も繰越控除も使えません)
- だから慌てて損を確定させるメリットは、特定口座よりむしろ小さい
- 優良なインデックスを積み立てているなら、持ち続けるのが基本
この記事は「NISAは損すると不利だから危険だよ」という話ではありません。
むしろ逆で、仕組みを知っておくと、下がった日にも落ち着いていられる。
そういう知識のお話です✨
💰 そもそもNISAの「非課税」は、プラスのときだけの話
まずおさらいです。ふつうの口座(特定口座・一般口座)で株や投資信託を売って利益が出ると、その利益に20.315%の税金がかかります。
10万円もうかったら、約2万円が引かれるイメージですね。
NISA口座なら、この税金がゼロ。これがNISA最大のメリットです。
でも、よく読んでみてください。これはあくまで「利益が出たとき」の話なんです。では、マイナスのときは? ——ここから本題です。
税金の基礎から知りたい方はこちらもどうぞ。詳しくはこちら👇
NISAって結局なにがお得?利益にかかる税金20%をやさしく解説
⚠️ 落とし穴①:ほかの口座の利益と相殺できない(損益通算)
まず「損益通算」という言葉から。むずかしそうですが、意味はシンプルで、プラスとマイナスを合算して、税金の対象になる金額を減らすことです。
たとえば特定口座で10万円の利益、別の特定口座で10万円の損。この場合はプラマイゼロなので、税金は0円になります。とてもありがたい仕組みですよね。
ところが、NISA口座で出た損失は、税金の計算上「なかったもの」として扱われます。つまり、他の口座の利益と相殺できません。
具体例で見てみましょう。NISAで10万円の損、特定口座で10万円の利益が出たとします。
相殺できないので、特定口座の利益10万円はまるまる課税対象。
20.315%=約2万円が税金として引かれます。
もし両方が特定口座だったら、税金は0円でした。

同じ「10万円の利益+10万円の損」でも、損が出た口座によって手取りは約2万円変わります。NISA口座の損失は税金の計算上「なかったもの」として扱われ、ほかの口座の利益と相殺(損益通算)できないためです。※税率20.315%は2026年時点。分かりやすさのため単純化した一例です。
同じ「10万円の損と10万円の利益」なのに、口座の組み合わせが違うだけで手取りが約2万円変わる、というグラフです。
損の中身は同じでも、税金の世界での扱いがまったく別物なんですね。
ただ、これは制度の欠陥ではありません。
NISAはそもそも、利益が出ても課税しない制度です。
プラスのときに税金を取らない代わりに、マイナスのときの救済もしない。表裏一体の設計思想、と理解するのがしっくりきます。
📅 落とし穴②:損を翌年に持ち越せない(繰越控除)
もうひとつが「繰越控除」です。
特定口座なら、その年に引ききれなかった損失を翌年以後3年間くり越して、将来の利益と相殺できます。今年10万円の損なら、来年もうかった分から差し引ける、というイメージですね(確定申告が必要です)。
でも、NISAの損失にはこの制度が使えません。その年で終わり。翌年に持ち越すことはできません。
| できること | 特定口座 | NISA口座 |
|---|---|---|
| 利益への課税 | 20.315% | 非課税 |
| 損益通算 | できる | できない |
| 繰越控除(翌年以後3年間) | できる | できない |
🤔【やんともの素朴な疑問】特定口座なら、勝手に相殺してくれるんじゃないの?
ここで、私自身がずっとモヤモヤしていた疑問を白状します。「特定口座って、確定申告しなくても勝手に損と利益を相殺してくれるよね?」という点です。
調べてみた答えはこうでした。
- 同じ証券会社の「特定口座(源泉徴収あり)」の中だけなら、自動で相殺してくれる。ここは疑問のとおりでした
- ただし①複数の証券会社の口座をまたいで相殺する ②損を翌年以降にくり越す(繰越控除)——この2つは確定申告が必要
私は事情があって毎年確定申告をしている側なので(中身は割愛します😅)、この手の話はまったく他人事ではありません。
ふるさと納税の記事でも少し触れましたが、申告まわりは「知らないと損する」ことがけっこう多いんですよね。
そして大事な結論。どちらにしても、NISA口座の損はこの仕組みの外にいます。自動でも申告でも、救ってはもらえません。
🔄 落とし穴③:損して売っても、戻る枠は「買ったときの金額」
3つめは、初心者がいちばん誤解しやすいポイントです。
金融庁の説明によると、NISAで商品を売却した場合、翌年以降、売却した商品の簿価(買ったときの金額)の分だけ非課税投資枠が復活します。
つまり、100万円で買ったものを80万円で売っても、翌年復活する枠は「100万円」。
ここだけ聞くと得した気分になりますが、落ち着いてください。
枠(買える権利)は買った金額分だけ戻りますが、減った20万円そのものが戻ってくるわけではありません。
戻るのは「席」であって「お金」ではない、というイメージです。
ちなみに「売ったらすぐ枠が復活する」ルールは、現時点ではまだありません。
金融庁は2026年度の税制改正要望で「非課税保有限度額の当年中の復活」を要望していましたが、令和8年度税制改正大綱には採用されず、見送られました。
したがって現行ルールは「翌年以降に復活」です。今後の改正で変わる可能性はあるので、そのときはまた記事にしますね。
売ったお金が実際に手元へ届くまでのタイムラグについてはこちら。詳しくはこちら👇
投資信託を売ったらお金はいつ届く?オルカンは約1週間後です
🐈 【やんともの体験】含み損が怖くて損切りしていた頃と、今
ここからは私自身の話を。
株を始めたてのころ、まだ高配当株をやっていなかった短期トレード時代の私は、集中投資で、あまり調べずに買っていました。
よく分かっていないから、少しのアップダウン、特に下げが怖くなって損切りを繰り返す。
そして何より、株価の変動が気になって、ほかの物事に集中できなかったんです。
仕事中も家族との時間も、頭のどこかで値動きを気にしている。あれはしんどかったです。
今では、短期トレードはギャンブルだと気づきました。この失敗談の全体像はこちらに書いています。詳しくはこちら👇
投資5年でわかった「やってよかった・後悔した」正直な振り返り
暴落のたびに、少しずつ落ち着けるようになった
- 2024年8月5日の歴史的大暴落:翌日もっと下がるだろうと思って、結局手が出せませんでした(この話はこちらで詳しく)
詳しくはこちら👇
8月の「夏枯れ相場」ってなに?お盆休みと株のフシギな関係 - 2025年4月のトランプ関税ショック(2025年4月7日、日経平均は前日比2,644円安の31,136円まで下落し、一時30,792円台の年初来安値をつけました)と、2026年3月の中東急落:このときは落ち着いて買いに入れました
- 2026年7月のAI関連の調整:自分の保有銘柄も、検討中の銘柄も特に下げず、無風でした
いまは十分に調べたうえで日本の高配当株を持っていて、85社に分散しています。
数社がマイナスでも、ほかの銘柄でカバーできている状態です。
優良企業は株価も比較的安定していますし、最近の株高の影響もあるかもしれませんが、買った値段より上がっている銘柄のほうが圧倒的に多いのが正直なところ。
そして何より、この投資方法にシフトしたおかげで、心にゆとりが出ました。
今持っている85社の中に「失敗したな」と思う銘柄はありません。
もちろん将来を保証するものではありませんが、自分で調べて納得して買う、というだけで景色はずいぶん変わりました。
🏠【我が家の話】妻の「株どう?大丈夫?」
日経平均がガクッと下がった日に、妻が「株どう?大丈夫?」と聞いてくることがあります。
正直なオチを言うと、私自身は普段あまり株価を見ていないので、妻に言われて初めて下がったことを知ることもあるんです😅
昔の、値動きが気になって仕方なかった自分からは考えられません。
そういうときは、自分の投資スタイルを説明して「問題ないよ」と伝えています。
それで会話は終わり。それくらいの距離感が、我が家にはちょうどいいみたいです。

🦍 友人に「含み損なんだけど売るべき?」と相談されたら
正直な答えは、何を買っているか、どこで買っているかによるです。
SBI証券や楽天証券などのネット証券で、オルカンやS&P500のような優良なインデックスを買っているなら——私は「積立を継続して、持ち続けたら?」と言います。
始めたてのころは含み損になることもありますし、最近は株高の影響で含み損の人が少ないかもしれませんが、株をやっていれば、ずーっと下がっていく時期もあります。
そのときに握力が試されるんですよね。
一方で、手数料が高いものや、本人がよく分かっていないもの(流行りでなんとなく買ったもの)については、私は特に言うことはありません。
株価の未来は誰にも分かりませんし、最終的には本人の判断です。ただ、「なぜそれを持っているのか」を自分の言葉で説明できるかどうか——ここが分かれ目だと思っています。
手数料が高い商品をつかまされてしまう構造は、こちらで書きました。詳しくはこちら👇
銀行の窓口で投資信託を買ってはいけない理由
というわけで、私の決めゼリフは今日も変わりません。継続一択!握力ゴリラ🦍
✨ まとめ:売らなければ、損は確定しない
- NISAの損は、損益通算も繰越控除もできない(非課税の裏返しの設計)
- 損して売っても、翌年戻る枠は「買ったときの金額」。減ったお金は戻らない
- だから慌てて売る理由は、税金の面から見てもほとんどない
もちろん投資には元本割れのリスクが常にありますし、これは一般的な傾向の話で、将来の成果を保証するものではありません。
それでも、売らなければ損は確定しない——この一点は覚えておいて損はないと思います。含み損は、長期で積み立てる人にとっては通過点です。
ただ、「いつか売る日」は必ず来ます。教育資金、老後資金、住まいのこと。そのときのために、仕組みだけは先に知っておきましょう。
この記事を書いている今、もなかは階段の途中に座って、こちらを静かに見下ろしています。ココアはラグを前足でカリカリと掘るしぐさ。相場がどうであれ、我が家の時間はいつもどおりです🐈🐰
※本記事の制度内容は執筆時点の情報にもとづいています。最新の仕様は公式サイトでご確認ください。
・金融庁 NISA特設ウェブサイト
・国税庁
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本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。

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