「オルカンとS&P500、両方買っておけばもっと分散が効くのでは?」
投資を始めたころ、これは私もぼんやり考えていたことでした。そして正直に告白すると、私が最初に積立を始めたのはS&P500だったんです。当時は「アメリカが強いんだからこれでいいでしょ」くらいの軽い気持ちでした😅
ただ、公式の月次レポートの数字を並べてみると、この「両方持ち」がどういう意味を持つのかがはっきり見えてきます。今回はそこを一緒に確認していきましょう📊
📌 結論:両方持ちは「分散」にはならない。アメリカの比率が上がるだけ
先に結論から書きます。
オルカンとS&P500の両方持ちは、分散にはなりません。アメリカの比率が上がるだけです。
これは私の持論でもあります。2本に増えると「商品が2つになった」ので、感覚としては分散した気がします。でも中身を見ると、増えているのは商品の数だけで、投資先の広がりではないんですね。
誤解のないように先に書いておくと、オルカンもS&P500もどちらも優良なインデックスファンドです。低コストで幅広く投資できる、初心者にとっても誰であってもありがたい商品だと思っています。今日の話は「どちらが良い・悪い」ではなく、「2本持つと何が起きるか」の話です。
そもそも2つの中身がどう違うのか、基礎から知りたい方はこちら👇
🌍 オルカンとS&P500って何?円グラフで中身を見ながら初心者向けに解説
📊 数字で確認①:オルカンの中身は、すでにアメリカ63.1%
まず前提です。オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))は2,414銘柄に投資していますが、その国別比率はこうなっています。

円グラフにすると、6割以上がアメリカに偏っていることがひと目でわかります。2位の日本は5.0%です。※三菱UFJアセットマネジメントの月次レポート(2026年7月31日現在)の「組入上位10ヵ国・地域」より。上位10ヵ国の合計は86.6%で、残りを「その他の国・地域」としてまとめています。
「全世界」という名前ですが、実質の主役はアメリカです。ここにS&P500(アメリカ100%)を足すと、当然アメリカの比率は上がります。オルカンの63.1%から計算した概算がこちらです。

S&P500を足していくと、増えるのはアメリカの比率だけで、投資先の国が広がるわけではありません。半々で持つとアメリカは8割を超え、日本は5.0%から2.5%に半減します。※オルカンの国別比率は三菱UFJアセットマネジメントの月次レポート(2026年7月31日現在)より。組み合わせ後の比率は筆者による概算です。
いちばん見ていただきたいのは真ん中の行です。半々で持つと、アメリカが8割を超えます。「分散のために2本」と思っていたのに、結果はアメリカ集中に近づいていく、という構図ですね。
もうひとつ、地味だけど大事なのが日本の比率です。オルカン単体なら5.0%あった日本が、半々にすると2.5%に半減します。私たちは日本で暮らして日本円で生活しているので、ここが薄くなることも知っておいて損はないと思います🇯🇵
🔍 数字で確認②:上位10銘柄のうち、9社が同じ
ここが今回いちばんの見せ場です。両ファンドの組入上位10銘柄を並べてみます。
| オルカン | 比率 | S&P500 | 比率 |
|---|---|---|---|
| Apple | 4.8% | Apple | 7.6% |
| NVIDIA | 4.4% | NVIDIA | 7.3% |
| Microsoft | 3.1% | Microsoft | 5.2% |
| Amazon | 2.2% | Amazon | 3.6% |
| Alphabet(CL A) | 1.9% | Alphabet(CL A) | 3.0% |
| Broadcom | 1.7% | Broadcom | 2.8% |
| TSMC(台湾) | 1.6% | Alphabet(CL C) | 2.4% |
| Alphabet(CL C) | 1.5% | Meta | 1.8% |
| Meta | 1.2% | Micron | 1.5% |
| Micron | 1.0% | JPMorgan Chase | 1.5% |
| 上位10合計 | 23.4% | 上位10合計 | 36.7% |
お気づきでしょうか。オルカンの上位10銘柄のうち9社が、S&P500の上位10銘柄とまったく同じなんです。違うのはオルカン側の台湾TSMCと、S&P500側のJPMorgan Chaseだけ。
つまり2本目としてS&P500を買い足したとき、買い増しているのは同じ9社ということになります。銘柄名まで一緒なので、「新しい投資先を増やした」というより「同じ顔ぶれの持ち分を厚くした」というのが実態に近いんですね。
私はこの重なりを見たとき、そうなると思う。というのが正直な感想です。今、世界を牽引しているのはアメリカの企業なので、世界全体を時価総額で並べれば、上位はアメリカ勢で埋まります。むしろこれは自然な結果なんです。
そして、その顔ぶれが将来変わったときにどうなるかは、オルカン側で毎年淡々と処理されています。詳しくはこちら👇
🌍 オルカンの中身が入れ替わりました|MSCI8月見直しの結果と、私たちがやること
📈 数字で確認③:値動きもほぼ同じ
中身が似ているので、当然ながら値動きも似ます。月次レポートに載っている騰落率がこちらです。
| 期間 | オルカン | S&P500 |
|---|---|---|
| 過去1ヵ月 | -1.3% | -1.0% |
| 過去3ヵ月 | +4.5% | +4.7% |
| 過去6ヵ月 | +11.2% | +12.2% |
| 過去1年 | +29.5% | +27.0% |
| 過去3年 | +87.5% | +91.2% |
数字の差はありますが、上がるときは両方上がり、下がるときは両方下がっています。ここが大事なところで、片方が下がるときは、もう片方も一緒に下がるんです。だから2本に分けても、値下がり局面のクッションにはなりません。
「分散が効く」とはどういう状態なのかを整理した記事もあります👇
📉 分散投資はなぜ大事?韓国株−10.8%・日経−3.95%の日にわかったこと
🌱 私がS&P500からオルカンに変えた理由
ここからは私自身の話です。
冒頭に書いたとおり、私は最初S&P500を積立していました。困っていたわけでも、成績が悪かったわけでもありません。変えるきっかけになったのは、情報でした。
SNSやYouTubeを開くと、「次はインドが来る!」「アメリカが今後も勝ち続けるとは限らない!」といった、煽るような投稿が流れてきます。ひとつ見るぶんには「ふーん」で済むのですが、何度も目にするうちに「このまま買い続けていいのかな?」と思うようになったんです。
そこから自分で調べていく中で知ったのが、オルカンの6割はアメリカだという事実でした。主役はアメリカのまま。でも全世界に分散されていて、今後どの国が上位に来ようと、勝手にリバランスされる。
この「勝手に」が、私にはいちばん効きました。次に来る国を当てる必要がない。ニュースを見て積立先を組み替えなくていい。いろんなことを気にしなくていいから、オルカン一本に変更したんです。
私は株を始めたころ、値動きに耐えられず狼狽売りをした失敗があります。だからこそ「気にしなくていい仕組み」の価値を、人より重く見ているのかもしれません。設定を終えた日の夜、キャットタワーの上から私を見下ろしていたもなかと目が合って、なんだか肩の荷が下りたのを覚えています🐈

私がオルカンを選んでいる理由をもう少し掘った記事はこちら👇
🌍 オルカンがS&P500を逆転!なぜ今「全世界株」が選ばれるのか
🤔 じゃあ両方持つのはダメ?
ダメだとは思いません。ここは正確に書きます。
私が「効いていない」と言っているのは「分散のために2本」という理由だけです。分散という目的に対しては、数字を見るかぎり働いていません。でも、それ以外の理由があるなら止める話ではないと思っています。
たとえば用途別に分けるという考え方。片方は教育資金、もう片方は老後用、というふうに財布を分ける整理のしかたです。これは「わかりやすさ」としてアリだと思います。取り崩す時期が違うお金を、心の中でも口座の中でも混ぜたくない、という感覚は私も理解できます。
ただし、ここは誤読しないでほしいところです。用途を分けても、値動きのリスクは分かれません。先ほどの騰落率のとおり、下がるときは両方一緒に下がります。あくまで「目的別に整理しやすくなる」だけで、リスクが減るわけではない、という位置づけです。
あとは、商品を増やすほど管理が複雑になるという現実もあります。何をいくら持っているか把握しづらくなると、続けるハードルが上がってしまいますからね。
商品を増やすことのメリット・デメリットについてはこちら👇
🌍 オルカン一択は危ない・金や債券で資産防衛を、って本当?初心者向けにやさしく解説
ちなみにコスト面も少し違います。信託報酬はオルカンが年率0.05775%(税込)以内、S&P500が年率0.08140%(税込)以内。どちらも十分に低い水準で、ここで悩むほどの差ではないと私は思っています。
✨ まとめ:信じられるものを選べばいい
今回のポイントを整理します。
- オルカンはすでにアメリカ63.1%。S&P500を足すとその比率が上がるだけ
- 半々で持つとアメリカが8割超、日本は5.0%→2.5%に(概算)
- 上位10銘柄のうち9社が同じ。2本目で買い増しているのは同じ9社
- 値動きも似ているので、下がる局面の守りにはならない
- 「分散のため」なら効いていない。ただし用途別に分ける整理としてはアリ
結局のところ、選ぶ基準はこうだと思っています。今後もアメリカ一強を信じるか、どの国が上位に来ても関係なく持ち続けられるオルカンか。結局オルカンも6割はアメリカです。その人が信じられるものを選べばいい。
「それでも両方持ちたい」という方へ。私ならオルカン一本にしますが、両方持ちたいなら好きにすればいいと思います。変なものを買うわけじゃないし、どちらも優良なインデックスファンドですから😊
いちばん大事なのは、自分が納得して10年20年続けられることです。記事を書き終えたころ、ココアがラグを前足でせっせと掘っていました。あの調子で、こちらも淡々と積み立てていこうと思います🐰
なお、投資の順番はいつもと同じです。家計管理 → 生活防衛資金の確保 → 余剰資金で投資。ここは崩さないようにしましょう💰
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※本記事の数字は三菱UFJアセットマネジメントの月次レポート(2026年7月31日現在)および交付目論見書(2026年7月25日)によるものです。組み合わせ別の比率は筆者による概算です。最新の情報は公式サイトでご確認ください。
三菱UFJアセットマネジメント 公式サイト
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。

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