「払った保険料は、生命保険料控除があるのでお得ですよ」
昔、貯蓄型保険をすすめられたとき、私はこう言われて契約しました。当時はまだ投資も税金もよく分かっていなくて、「払ったお金が返ってくるならお得なんだな」と素直に思ってしまったんですよね。今思えば、まんまとカモになっていたわけです😌
この記事では、あのときの私が知りたかったことを、そのまま書きます。テーマはひとつだけ。「控除額」と「返ってくるお金」はまったく別物ですよ、という話です。ここさえ分かれば、同じセールストークを聞いても、落ち着いて判断できるようになります✨
💡 まず一番大事なこと|「控除額4万円」は「4万円戻る」ではありません
ここだけは、時間をかけて説明させてください。多くの人がつまずくのは、まさにここだからです。
税金は、こんな順番で計算されます。
- ① 1年間の収入から、いろいろな「控除」を引く
- ② 残った金額(=課税所得)に、税率をかける
- ③ 出てきた金額が、支払う税金
生命保険料控除は、この①で引かれる金額です。つまり「税金そのものを4万円まけてくれる」のではなく、「税金の計算のもとになる金額を4万円小さくしてくれる」だけなんです。
だから、実際に減る税金は「控除額 × 自分の税率」になります。所得税率が10%の人なら、控除4万円で減る所得税は約4,000円。20%の人でも約8,000円です。4万円がまるごと戻ってくるわけではありません。
この「所得から引かれて、その分の税金が減るだけ」という仕組みは、iDeCoの掛金控除もまったく同じです。仕組みの部分をもう少し丁寧に知りたい方は、詳しくはこちら👇
🏦 iDeCoって何?NISAとどっちを優先?初心者向けにやさしく解説
📊 子育て世帯は上限が6万円になりました(ただし期間限定です)
ここ最近、「控除の枠が広がったので、今のうちに」という話も聞くようになりました。制度としては本当にありますので、正確に整理しておきます。
一般生命保険料控除(所得税・2012年1月1日以後の契約)の計算式をグラフにすると、こうなります。

どこまで保険料を払っても、控除される金額には上限があります。通常は年8万円で4万円が頭打ち。23歳未満の扶養親族がいる場合は、年8万円で5万円、年12万円で6万円が上限です。※計算式は国税庁「No.1140 生命保険料控除」と財務省「令和7年度税制改正の大綱」より。所得税の一般生命保険料控除(2012年1月1日以後の契約)。
そしてもうひとつ大事なのが、この拡充は恒久的な制度ではないということです。令和8年(2026年)分の時限措置として始まり、令和9年(2027年)分まで1年延長されています。「これからずっと使える枠」ではないんですね。

🧮 では、控除のために保険料を増やすとどうなるか
ここが、この記事の本題です。
23歳未満の扶養親族がいる方が、年間の保険料を8万円から12万円へ、4万円多く払ったとします。控除額はこう変わります。
- 年8万円のとき → 控除額 5万円
- 年12万円のとき → 控除額 6万円(上限)
増えた控除額は、1万円だけです。4万円多く払って、増える控除は1万円。
そして、実際に減る所得税はこうなります(復興特別所得税2.1%込みの概算)。
- 所得税率10%の人 → 約 1,021円
- 所得税率20%の人 → 約 2,042円
整理すると、手元から4万円多く出ていって、取得税が約1,000〜2,000円減るということです。「少し返ってくる」は事実です。でも、返ってくる額よりも、払う額のほうがはるかに大きい。ここを見ずに「お得」と受け取ってしまうと、判断を間違えます。

控除を1万円増やすために保険料を4万円増やすと、戻ってくるのは約2,042円(所得税率20%の場合)。差し引き37,958円が持ち出しになります。※復興特別所得税2.1%込みの概算。住民税は上限に達しているため変わりません。実際の税率や控除額は個人の状況によって異なります。
🔍 見落としがちな2つのこと
① 住民税は1円も変わりません
今回の子育て世帯向けの拡充は、所得税だけの措置です。住民税の一般生命保険料控除に上乗せはなく、上限は従来どおり2.8万円のままです。
しかも住民税の計算では、年5.6万円を超えた時点で上限の2.8万円に達します。つまり保険料を8万円から12万円に増やしても、住民税はまったく動きません。「税金が減る」と言われても、動くのは所得税の一部だけなんですね。
② 3つ合わせた上限は12万円のまま
財務省「令和7年度税制改正の大綱」には、「一般生命保険料控除、介護医療保険料控除及び個人年金保険料控除の合計適用限度額は12万円とする(現行と同じ)」と注記されています。
一般6万+介護医療4万+個人年金4万=14万円になったとしても、合計で使えるのは12万円まで。すでに介護医療保険や個人年金保険で枠を使っている方は、一般の枠が広がっても恩恵を受けきれないことがあるということです。ここまで説明されることは、あまり多くない気がします。
🍵 【やんともの話】あのときのセールストークについて、今思うこと
冒頭に書いたとおり、私は「控除で少し返ってくるのでお得ですよ」と言われて、貯蓄型保険を契約しました。
正直に言うと、あの説明自体は嘘ではありません。控除は本当にありますし、税金も本当に少し減ります。問題は、「いくら払って、いくら戻るのか」という肝心の金額を言わないまま、「だからお得です」に話がつながっていったことだと思っています。
税金のことを自分で勉強していく中で、あのときのやりとりを何度も思い出しました。今思うと、何も知らない人、情報を持っていない人をカモにする言い方だなと感じます。売るためだったら、事実と少しズレたこともやるんだなと。
その後、貯蓄型保険は解約して、掛け捨てに切り替えました。仕組みの違いについては、詳しくはこちら👇
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✅ 控除は「結果」であって、「目的」にしない
今の我が家は、生命保険料控除の枠をまったく意識していません。
やったことはシンプルで、「もし私に何かあったとき、家族にいくら必要か」を計算して、その分だけ掛け捨ての保険に入っただけです。遺族年金も考慮に入れると、必要額は思っていたより少なくて済みました。結果として、控除の上限には届いていません。それでいいと思っています。
いくら掛ければいいのかの計算方法は、詳しくはこちら👇
🛡️ 掛け捨て保険はいくら必要?計算すれば意外と少なくて済みます
年末調整の時期になると、保険会社から控除証明書のハガキが届きます。必要事項を入力しないといけないので、私も毎年きちんと目を通します。でもそれは「使えるものは使う」というだけの話で、控除の枠を埋めるために保険を増やすという発想は、もう私の中にはありません。
そんなことを考えている横で、もなかは体をめいっぱい伸ばしてぐでーっと寝ていて、ココアは部屋の中を元気に走り回っています🐈🐰 我が家の暮らしは、控除の枠とは関係なく回っているんですよね。

📝 まとめ
- 控除額は「返ってくるお金」ではない。所得から引かれて、その分の税金が減るだけ
- 23歳未満の扶養親族がいる場合、一般生命保険料控除の上限は6万円に。ただし令和8年分・令和9年分の時限措置
- 保険料を年8万円→12万円(+4万円)に増やしても、控除の増加は1万円。減る所得税は約1,021円〜2,042円
- 住民税は1円も変わらない(上限2.8万円は据え置き、年5.6万円超で上限到達)
- 一般・介護医療・個人年金の合計適用限度額は12万円のまま
- 控除は「必要な保険に入った結果、使えるもの」。控除を取りにいくために保険を増やすものではありません
「お得ですよ」と言われたら、その場で「で、いくら払って、いくら戻るんですか?」と聞いてみてください。数字が出てくれば、判断はぐっとしやすくなります。昔の私が、いちばん聞いておくべきだった質問です😊
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📚 出典・ご確認のお願い
計算式は国税庁「No.1140 生命保険料控除」および財務省「令和7年度税制改正の大綱」によるものです。子育て世帯向けの拡充は令和8年分の時限措置として始まり、令和9年分まで延長されています。税額の試算は概算で、実際の税率や控除額は個人の状況によって異なります。具体的な取り扱いは国税庁や税務署、税理士にご確認ください。なお、筆者は税理士ではありません。
制度は改正されることがあります。最新の仕様は公式サイトでご確認ください。
- 国税庁「No.1140 生命保険料控除」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm
- 財務省「税制改正の大綱」:https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/index.html
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。

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