こんにちは、やんともです🐈
今日は、あまり人に言いたくない話をします。
株を始めたばかりのころ、私はある銘柄を「株価が10分の1になるまで」持っていました。買ったときの10分の1です。2年くらい、ずっと持っていました。
急に暴落したわけではありません。だらだら、だらだらと下げていきました。毎日ちょっとずつ含み損が増えていって、そのたびに「いや、いつか上がるだろう」と心の中でつぶやく。その繰り返しです。
気づいたら、マイナスの金額が自分でも直視できない大きさになっていて、もう売るに売れなくなっていました。最終的には、上がるかどうかを判断したというより、ただ諦めて損切りしました。
今思うと、損切りラインを決めておくのは大事だね、としみじみ思います。最悪の塩漬けの典型パターンですわ😇
この記事では、「塩漬け」と「損切り」が何がちがうのかをゼロから整理したうえで、私が本当に失敗していたのはどこだったのかを書きます。先に結論だけ言っておくと、塩漬けにするのは株価ではなく、買い方でした。
🧂 塩漬けと損切りって、何がちがうの?
まず言葉の整理からいきます。どちらも投資の本や証券会社の用語集(SMBC日興証券や東海東京証券の用語集などでも同じ趣旨で説明されています)によく出てくる言葉ですが、初めて聞くとごっちゃになりがちです。
- 損切り=損が出ている株を、損を確定させて売ること。被害をそこで止める「行為」です。
- 塩漬け=買値より下がっていて、売ると損が出るので売れないまま持ち続けている「状態」。とくに、近い将来も上がりそうにない銘柄について使われます。
ここがキモなのですが、損切りは「行動」で、塩漬けは「状態」です。同じ土俵の反対語ではありません。
| 損切り | 塩漬け | |
|---|---|---|
| 正体 | 行動(売る) | 状態(持ったまま) |
| 決めたかどうか | 自分で決めて実行した | 決められないまま時間が過ぎた |
| 損は? | 確定する | 確定していない(含み損のまま) |
| 気持ち | 痛いけど区切りがつく | ずっともやもやが続く |
そして大事なのは、塩漬けは「よし、塩漬けにするぞ」と選んでなる人はほぼいないということ。私もそうでした。判断を先送りしているうちに、気づいたらそうなっていた。ほとんどの塩漬けは、決断ではなく「未決」の結果です。
🧮 売るに売れなくなる理由①:これは算数の問題です
なぜ「もう少し待とう」がどんどん苦しくなるのか。まずは、感情の前に算数の話をさせてください。
株価が下がったとき、買値に戻るのに必要な上昇率は、下落率と同じではありません。

−10%のうちは+11%で戻ります。でも−50%になると2倍、−90%だと10倍にならないと買値に戻りません。「もう少し待とう」が苦しくなっていくのは、気持ちの問題である前に、この算数のせいです。
- −10% → 買値に戻るには +11%
- −30% → +43%
- −50% → +100%(2倍)
- −70% → +233%
- −90%(10分の1)→ +900%
−10%なら+11%で戻ります。ここはまだ「ありそう」に感じますよね。ところが−50%になると、株価が2倍にならないと買値に戻りません。そして私が体験した−90%は、そこから10倍にならないと元に戻らない世界です。
これが、待つほど売れなくなる正体です。下がれば下がるほど「戻る」が現実から遠ざかっていくのに、頭の中の期待だけはそのまま残る。私が2年かけてハマっていたのは、この落とし穴でした。
💔 売るに売れなくなる理由②:これは心の問題です
もうひとつ、人間の心の作りの話です。

右の緑が「増えたうれしさ」、左の赤が「減ったつらさ」です。同じ10万円でも、つらさのほうが2倍以上深い。売るボタンで指が止まるのは、気合いの問題ではありません。
行動経済学に「プロスペクト理論」という有名な研究があります。トベルスキーとカーネマンが1992年に発表した実験では、人は同じ金額でも、損したつらさを、得したうれしさより約2.25倍重く感じると推定されました。
つまり、10万円増えたうれしさより、10万円減ったつらさのほうが2倍以上大きいということです。
だから、損を確定させる行為=損切りは、心理的にものすごく重い。ボタンひとつなのに、指が動かない。あれは意志が弱いからではなく、人間の脳がそう出来ているからです。ここは自分を責めなくていいところだと、私は本気で思っています。
…とはいえ。この記事を「心の癖ですから仕方ないですね」で終わらせるつもりはありません。私の場合、本当の原因はもう一段手前にあったからです。

🔍 私の本当の失敗は、売れなかったことではありませんでした
正直に書きます。当時の私の買い方は、こうでした。
- 買う銘柄をあまり調べもしていなかった
- 流行りの銘柄や、ランキング上位の「株価が調子の良い」銘柄ばかり買っていた
- 損切りラインも決めていなかった(理由は単純で、お金が減るのが怖かったから)
- そのくせ、毎日の株価のアップダウンでドキドキしていた(笑)
ここが、この記事の転換点です。
私は長いあいだ「損切りできなかったから負けた」と思っていました。でも、落ち着いて振り返るとちがいます。調べずに、流行りだけで買っていたから、下がったときに持ち続ける理由が何ひとつ無かったのです。
その会社が何で稼いでいるのか知らない。なぜ株価が下がったのかも分からない。そうなると、判断材料がゼロなので、できることは「上がってくれ」と祈ることだけになります。祈りは投資判断ではありません。
ちなみに、私は損切りをまったくしなかったわけでもありません。別の場面ではぱちぱち損切りもしていました。でもそれでも累計ではマイナスでした。だからこの記事では「損切りすれば勝てる」とは書きません。逆に「持ち続ければいつか戻る」とも書きません。どちらも、私には効かなかったからです。
効いたのは、そのもっと手前、買い方を変えることでした。
😌 いまも含み損の銘柄はあります。でも気になりません
今の私は、日本株の個別を長期で持つスタイルです。長期で成長している優良企業を自分で調べて、暴落したときにだけ買う。気づけば保有は85社ほどになりました。
当然、含み損になっている銘柄もあります。それも1つや2つではありません。
でも、昔のようなあの胃がキリキリする感じは、まったくありません。理由は3つです。
1. 分散しているから
1銘柄がへこんでも、全体に与える影響は限定的です。昔は少ない銘柄に集中していたので、1つ下がると気持ちごと全部持っていかれていました。
分散がなぜ効くのかについては、詳しくはこちら👇
🌏 分散投資はなぜ大事?韓国株−10.8%・日経−3.95%の日にわかったこと
2. ちゃんと調べて買っているから
その会社が何で稼いでいて、どんな強みがあって、なぜ自分が買ったのか。これが自分の言葉で言えると、株価が下がっても「で、その理由は崩れたんだっけ?」と考えることができます。判断材料があるので、祈らなくて済むんですね。
3. 強いセクター・弱いセクターは、時代とともに入れ替わるから
ここで「セクター」という言葉を軽く説明しておきます。セクターとは、会社を事業の中身でグループ分けしたものです。日本株では東京証券取引所の33業種という分け方がよく使われます(銀行業、食料品、機械、医薬品…といった具合です)。
おもしろいのは、景気や金利の局面によって、強いセクターと弱いセクターが入れ替わること。景気が良いときは機械や素材が元気で、景気が悪いときは生活必需品や医薬品が相対的に粘る、といった傾向が語られます。この入れ替わりはセクターローテーションと呼ばれます。
難しい話は深追いしません。私が言いたいのは1つだけで、いま弱いセクターが、これからもずっと弱いとは限らないということです。
なので私は、含み損の%を見ながら「そろそろ買い増しどきかな」と眺めていたりします。ただしこれは、調べて納得して買った銘柄に対する、私個人のやり方です。読者のみなさんに買い増しを勧めるものではまったくありません。下がったから買い増す、は状況によってはリスクを大きくする行為でもあります。
✅ つまり、含み損=塩漬けではありません
昔の私の含み損と、いまの私の含み損。数字の見た目は同じ「マイナス◯%」です。でも中身がまったくちがいます。
- 昔:調べずに、流行りで買った銘柄。下がった理由も知らない。持つ根拠なし → これは塩漬け
- いま:調べて、分散して買った85社のうちの1つ。下がった理由も見当がつく → これはただの含み損
だから、いま含み損を抱えている人に「それは塩漬けですよ」と言うつもりはありません。自分の持ち株がどっちなのか、こんな感じで確かめてみてください。
- Q1. なぜこの株を買ったのか、自分の言葉で説明できますか?
- Q2. 下がった理由を、ざっくりでも知っていますか?
- Q3. この1銘柄に、資産の大部分を賭けていませんか?

引っかかった項目があっても、私は「じゃあ売りましょう」とは言いません。売る・売らないは、その人の資金状況と考え方次第で、私が決められることではないからです。
おすすめしたいのは、まず理由を確認すること。買った理由を思い出し、いまの会社の状況を調べ直す。そのうえで「買った理由がもう成り立っていない」のか「理由は生きているけど市場環境で下がっているだけ」なのかを分ける。ここが分かれば、売るにしても持つにしても、少なくとも祈りではなく判断になります。
私が10分の1まで持ってしまった銘柄は、Q1もQ2もQ3も全滅でした。そりゃそうなるわ、という話です😅
📈 じゃあ、積立(オルカン)の含み損はどうなの?
ここも整理しておきます。我が家は新NISAのつみたて投資枠で、SBI証券で eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を淡々と積み立てています。インデックスはこれ一本でいい、という立場です。
正直に言うと、ここ最近は株価の調子が良いので、オルカンで含み損になったことはありません。ただ、今後の暴落で含み損になることは当然あると思っています。
そのとき私がどう思うか。たぶん「安く買えるからラッキー」です。強がりではなくて、積立は同じ金額で買い続ける仕組みなので、価格が下がった月ほどたくさんの口数を買えるからです。長期投資である以上、積立は気にせず継続一択だと考えています。
そもそも積立のインデックスは、市場全体に広く分散されていて、特定の会社がダメになったら終わり、という商品ではありません。個別株の塩漬けとは、そもそも別物です。含み損は、積立をやめる理由にはならないと私は思っています。
積立がなぜ下落に強いのかは、詳しくはこちら👇
📈 ドルコスト平均法ってなに?積立がなぜ暴落に強いのか
もちろん、長期・分散・積立が有利になりやすいのは、①世界経済が長期で成長してきたこと ②複利が効くこと ③市場全体に分散されること ④時間分散で高値づかみが薄まること、といった理由からです。ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、将来の投資成果を保証するものではありません。投資には元本割れのリスクが常に伴います。
🌿 まとめ:塩漬けにするのは、株価ではなく買い方
長くなったのでまとめます。
- 損切りは「行動」、塩漬けは「状態」。塩漬けは、決めないまま時間が過ぎた結果になりやすい
- 下がるほど戻りは遠のく(−50%で+100%、−90%で+900%)。だから待つほど売れなくなる
- 損のつらさは得のうれしさの約2.25倍。売れないのは意志の弱さではなく心の作り
- でも損切りすれば勝てるわけでもない(私は損切りしていた時期も累計マイナスでした)
- 私の本当の失敗は、調べずに流行りで買っていたこと。だから下がったとき持つ理由が無かった
- 含み損=塩漬けではない。調べて分散して買った中の含み損は、ただの含み損
今思うと、損切りラインを決めておくのは大事です。−◯%で機械的に、と決めている人もいますし、それで救われる場面もあると思います(何%が正解かは人それぞれなので、ここで数字を指定はしません)。
でも、それと同じかそれ以上に、そもそも塩漬けになる買い方をしていないかを先に見てほしいのです。買う前に調べる。1銘柄に賭けない。この2つがあるだけで、含み損の意味がまるっきり変わります。
最後にひとつ制度の注意を。NISA口座で損切りしても、その損は他の利益と相殺(損益通算)できません。特定口座とはここが決定的にちがうところです。NISAで含み損の銘柄を売るときは、この点も頭に入れておくと判断しやすくなります。
NISAで損したときの税金の話は、詳しくはこちら👇
💸 NISAで損したらどうなる?売る前に知りたい税金の落とし穴
…と、ここまで真面目に書いていたら、足元にココアが撫でてほしくてちょこちょこ寄ってきて、目の前ではもなかが「にゃー」と甘えた声で鳴いています。10分の1の話で凹んでいる場合ではないですね😊 相場がどうなっても、我が家の夕方はだいたいこんな感じです。

含み損の画面を見て固まっている方が、少しでも「まず理由を確認してみよう」と思えたら、この記事を書いた甲斐があります。
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※本記事で触れたNISA制度の内容や、東京証券取引所の業種分類は執筆時点の一般的な情報です。最新の仕様は公式サイトでご確認ください。
・金融庁 NISA特設ウェブサイト:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/
・日本取引所グループ(JPX):https://www.jpx.co.jp/
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。

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