こんにちは、やんともです🏠
2026年8月31日、金融庁が「令和9年度 税制改正要望項目」という資料を公表しました。ニュースで「NISAの枠が売った年のうちに戻る」といった見出しを見た方もいるかもしれません。
ただ、いちばん最初に、いちばん大きな声で書いておきたいことがあります。
これは「要望」です。決まったことではありません。
役所が「こう変えてほしい」とお願いを出した、という段階です。この要望が実際の制度になるかどうかは、年末にまとまる「税制改正大綱(たいこう)」という、来年の税金のルールを決める話し合いで決まります。そこで落ちてしまう要望も、毎年たくさんあります。
なので、この記事はぜんぶ「〜する案です」「〜という要望が出ました」という書き方で通します。「変わります」とは一度も書きません。そのつもりで読んでいただけたらうれしいです😊
今回は、公表された要望の中から私たちの家計に関係しそうな4つを、順番に見ていきます。
💰 ① NISAの1,800万円枠が「売った年のうちに」戻る案
まず1つめ。NISAの話です。
今のNISAには「生涯投資枠」という上限があって、その大きさが1,800万円。ここまでは非課税で投資できますよ、という器の大きさですね。
この器は、売ればまた空きます。ただし今のルールでは、空きが使えるようになるのは「翌年」からです。たとえば今年100万円分を売っても、その100万円分の枠を使って買い直せるのは来年、ということになります。
今回、金融庁が出したのは「同じ年のうちに枠が復活するようにしてほしい」という要望です(継続して出している要望です)。

ただし条件があって、あくまで年間投資枠の範囲内。1年に投資できる金額は最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)ですから、その中でのやりくりになります。売ったからといって、1年で何百万円も無制限に回転できる、という話ではありません。
金融庁の注記も付いていて、新NISA(令和6年開始)で年間の投資可能額が360万円以下になり得るのは令和11年(2029年)以降。それでも「投資家が先の見通しを立てやすくするため」「金融機関がシステムを直す時間を確保するため」に、今年度の改正が必要だと書かれています。
そもそもNISAの枠は「買ったときの値段」で数えます。ここを勘違いしていると、この案の意味も分かりにくいと思います。
NISAの枠の数え方について、詳しくはこちら👇
📊 NISAの1800万円枠は「買ったときの値段」で数える|増えても枠は減りません
この記事の中で私は「売った枠が復活するのは翌年以降」と書きました。まさにその部分を変えようとしている案、ということになります。

NISAの枠が「いつ戻るか」だけを並べた図です。今は翌年、要望案では同じ年のうちに戻ります。ただし買い直せるのは年間投資枠(最大360万円)の範囲内です。※金融庁「令和9年度 税制改正要望項目」(2026年8月31日公表)をもとに筆者作成。要望の段階であり、実現するかは今後の議論で決まります。
私にとってはどうか
正直に言うと、頻繁に売り買いする人にとってはいい改正案だと思います。一方で、私は基本的に売らないので、今のところ私には関係がありません。
でも、少しだけ「通ってくれたら嬉しいかも」と思う理由もあります。我が家は子どもの教育費もNISAで貯めているからです。将来、必要なタイミングで一部を売ることは十分あり得ます。そのときに枠がすぐ回復するなら、うれしい話ではあるな、と。
自分は売らない。でも教育費のことを考えると意味がある。そんな二段構えの感想です。
ちなみに私はSBI証券でNISAをやっています。今回の①のように制度側のルールが変わる可能性はありますが、枠の使い方が変わるだけで、口座を作り直す話ではありません。制度が動くたびに証券会社を乗り換える必要はないので、そこは安心して大丈夫だと思います😊
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📈 ② つみたて投資枠にETFを入れる案
2つめ。つみたて投資枠で買えるETFの要件を整備してほしい、という要望です。
ETFは「上場している投資信託」のこと。株と同じように市場で売買できるタイプの投資信託ですね。今のつみたて投資枠では、ETFについての要件が未整備のままになっています。そこを、ETF市場の環境が整ってきたことを踏まえて対象とすべきETFの要件を決めましょう、というのが要望の中身です。
要件の案として挙がっているのは、たとえば指定指数に連動しないものについて、
- 純資産額が50億円以上あること
- 信託が始まってから5年経過していること
- 信託期間の3分の2で資金流入が超過していること(お金が入り続けている)
- 主に株式または公社債に投資していること
指定指数に連動するETFについては流動性(売買のしやすさ)の要件があり、国内取引所のETFは「円滑な流通のための措置が講じられている」として取引所が指定するもの、海外取引所のETFは資産残高1兆円以上、とされています。
投資信託とETFって何が違うの?というところは、こちらでやさしく書いています👇
📊 投資信託とETFの違いって?VYM・HDVもやさしく解説
私自身の感想を正直に書くと、よっぽど買うことはないかな、というところです。あくまでも私の意見ですが、インデックス投資はオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)で結構、完成形だと思っています。
とはいえ、選べるものが増えること自体は悪いことではありません。「選択肢が広がる」のと「自分が乗り換える」のは別の話。私は自分の積立をいじる予定はない、というだけです😊
🛡️ ③ 生命保険料控除の上乗せを「恒久化」する案
3つめ。これは昨日の記事の続報にあたります。
今、23歳未満の扶養親族がいる場合、一般生命保険料控除の所得控除の上限(4万円)に2万円が上乗せされて6万円になるという取り扱いがあります。ただしこれは令和8・9年限りの時限措置。期間が決まっている、いわば「お試し期間つき」の制度です。
今回の要望は、これを恒久化(ずっと続く制度に)してほしいというもの。なお、一時払生命保険はこの控除の適用対象から除外される、とも書かれています。
金融庁の資料でも「令和8・9年限りの時限措置」と書かれていて、昨日の記事に書いた内容と表記が一致していました。
生命保険料控除そのものの話は、詳しくはこちら👇
🛡️「生命保険料控除でお得ですよ」に気をつけて|4万円多く払っても戻るのは約2,000円です
掛け捨てと貯蓄型の違いはこちらです👇
🛡️ 掛け捨て保険と貯蓄型保険何が違うの?どっちがいい?本音を踏まえて解説
で、私の考えですが。恒久化されたとしても、私の考えは変わりません。
控除の上限まで埋めるために必要以上の保険に入ったり、貯蓄型保険に入ったりして、数万円払って数千円返ってくる——それは、お金を捨てているようなものだと思っています。控除は「保険に入った結果、少し戻ってくるおまけ」であって、控除のために保険に入るのは順番が逆です。
我が家は保険は掛け捨て一択。小さい子がいるので最低限の死亡保険には入っていますが、遺族年金があることも踏まえて、かけすぎないようにしています。
🕊️ ④ 死亡保険金の相続税の非課税枠を広げる案
4つめ。個人的にいちばん気になったのがこれです。気になったので、要望書のPDFをじっくり読みました。
今のルール
亡くなった方の死亡保険金には、相続税の非課税枠があります。金額は500万円 × 法定相続人の数(国税庁 No.4114・令和7年4月1日現在法令等)。この金額までは相続税がかかりません。
なお、相続人以外の人が受け取った死亡保険金には、この非課税の適用はありません。ここは間違えやすいポイントです。
要望されている案
今回の要望は、この現行の限度額に「配偶者及び未成年の被扶養法定相続人数 × 500万円」を加算するというもの。しかも時限ではなく恒久措置として求めています。
言葉だとイメージしづらいので、配偶者と未成年の子ども2人がいる場合で図にしてみました。

ここで大事な注意点。加算される対象は「配偶者」と「未成年の被扶養法定相続人」の数です。つまり子どもがすでに成人していれば、その子は加算の対象から外れます。「子ども2人だから必ず倍」ではありません。ここは必ず押さえておきたいところです。

配偶者と未成年の子ども2人(法定相続人3人)のときの非課税枠です。現行1,500万円に、同じだけ加算して3,000万円にしてほしいという要望です。加算されるのは「配偶者」と「未成年の被扶養法定相続人」の数なので、子どもが成人していれば対象から外れます。※現行=国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」(令和7年4月1日現在法令等)、要望=金融庁の令和9年度税制改正要望事項をもとに筆者作成。決まったことではありません。
なぜ広げてほしいのか(要望書に書かれている数字)
要望書には、理由づけとしていくつかの数字が並んでいました。
- 子育て世帯の30〜40代男性の普通死亡保険金の平均加入額は約2,144万円(生命保険文化センター「令和7年度 生活保障に関する調査」)。現行の非課税枠との間に差がある
- 母子世帯の実収入は月325,022円、勤労者世帯は月653,901円(総務省「令和7年 家計調査」)
- 相続財産の36.8%が土地・家屋などの、すぐには換金しにくい資産(国税庁統計・令和6年度)
- 平均世帯人員数は昭和61年の3.22人から令和7年の2.17人へ(厚生労働省)
- 生命保険の加入目的は「万一のときの家族の生活保障のため」が50.0%、「相続および相続税の支払いを考えて」は1.8%(生命保険文化センター)
- 適用見込みは約37万人、平年度の減収見込額は約267億円
ざっくり言うと、「世帯の人数が減って非課税枠も小さくなりがちなのに、遺された家族の生活費は必要。相続財産は家や土地が多くて売りにくい。だから残された家族の生活資金にあたる死亡保険金は、もう少し非課税にしてもいいのでは」という論立てですね。
相続で資産がどう引き継がれるかについては、こちらも参考にどうぞ👇
🕊️ NISAをやっている人が亡くなったらどうなる?資産は妻にどう引き継がれるのか
📜 ここが大事|平成3年度から、ずっと要望し続けている
で、この④について、私がいちばん大事だと思った一文が要望書の中にありました。原文のまま引用します。
「本要望については、平成3年度税制改正より継続して要望している」
平成3年度から、です。そしてこの非課税枠が前回引き上げられたのは昭和63年(法定相続人1人あたり250万円→500万円)でした。
つまり、35年以上、毎年ずっとお願いし続けていて、通っていないということになります。
これを知ってから、私の中で今回のニュースの受け止め方がだいぶ変わりました。「金融庁が要望しました」という見出しだけを見ると、もうすぐ実現しそうな気がしてしまいます。でも実際は、長年出し続けても通らない項目がある。要望=予告ではないんだな、と。
🔎 ⑤ そのほかの項目(軽く)
ほかにも家計に関係しそうな要望がいくつか入っていました。
- 金融所得課税の一体化=損益通算(利益と損失を差し引きすること)ができる範囲を、デリバティブ取引や預貯金等にまで広げてほしい、という要望
- 上場株式等の相続税に係る見直し
- 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(取得費加算)の見直し
どれも「要望に入っている」という段階です。
🍵 知っておく。でも楽観はしない
今回の4つを振り返ると、どれも「そうなったらいいな」と思える内容ではあります。NISAの枠が同じ年に戻るのも、控除が恒久化されるのも、死亡保険金の非課税枠が広がるのも。
ただ、私のスタンスはこれです。
国が何かを変えようとしていることは知っておいたほうがいい。でも、楽観はしない。通らないこともあるからね。
とくに④は、平成3年度からずっと要望されていて通っていない項目です。「たぶん通るだろう」と当て込んで保険を増やしたり、家計の計画を組み替えたりするのは、私は違うと思っています。制度が変わってから動いても、たいていの場合は間に合います。
だから、この記事も「今のうちに◯◯しておきましょう」とは書きません。むしろ、やることは前と同じです。家計を整えて、固定費を削って、生活防衛資金を確保して、余ったお金でコツコツ積み立てる。制度が変わったらそのとき考える。それだけです。
この記事を書いている横では、もなかが部屋の中をとことこ歩き回っていて、ココアがご機嫌にぴょんと飛び跳ねていました🐈🐇 制度の話をどれだけ調べても、我が家の日常はこのペースのままです。それでいいのだと思います。

📝 まとめ
- 2026年8月31日、金融庁が「令和9年度 税制改正要望項目」を公表。すべて「要望」であって、決定ではありません
- ①NISAの1,800万円枠を、売った年のうちに復活させる案(年間投資枠=最大360万円の範囲内)
- ②つみたて投資枠で対象となるETFの要件を整備する案
- ③23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の上乗せ(4万円→6万円)を恒久化する案。今は令和8・9年限りの時限措置
- ④死亡保険金の相続税非課税枠に「配偶者及び未成年の被扶養法定相続人数 × 500万円」を加算する案。配偶者+未成年の子2人なら1,500万円→3,000万円。子どもが成人していれば対象外
- ④は平成3年度から継続して要望されていて、前回の引き上げは昭和63年。35年以上通っていない
知っておく。でも、当て込まない。私はそのくらいの距離感で年末の議論を眺めようと思います😊
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※本記事の内容は、金融庁「令和9年度 税制改正要望項目」(2026年8月31日公表)および財務省に提出された要望事項、国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」(令和7年4月1日現在法令等)によるものです。いずれも要望の段階であり、実現するかどうかは今後の税制改正の議論で決まります。最新の情報は金融庁・国税庁の公式サイトでご確認ください。筆者は税理士ではありません。
金融庁:https://www.fsa.go.jp/
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。

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